戦闘鍛錬と小競り合いと心の靄

16/53
前へ
/366ページ
次へ
 しかし、厳密には故障ではなく、     ガシャガシャ       時間差発動する魔法のように、どこか機械じみた音が建物内で響いた。  変化はそれだけに留まらない。  機械じみた音が響いた直後、さらに盛大な爆音に近い音を轟かせて、四つ角の縦四辺に綺麗に真っ直ぐズパァーンッ!! と裂け目が入ったのだ。 「へ……?」  思わず間抜けな声を出してしまったリュミエールだったが、他のみんなも同じような表情をしていた。  大音量に驚き、その後の変化に戸惑いを隠せずにいる女子生徒たち。  中でも一際驚き、スイッチを押した姿勢のまま固まってしまっているリュミエールをよそに、建物はなおも変化を続けていく。  ズジジジ……ザジジジ……   今度はノイズにも似た耳障りな轟音を響かせて、四面の壁がそれぞれの方向へと体を投げ出すように倒れた。  えええええぇぇぇぇぇ~~~~~!!!!!  次いで、女子生徒たちの悲鳴に近いかもしれない絶叫が場内(?)で響いた。 (もはや完全に弁償だよね、むしろ弁償じゃないとおかしいよねこれ……。物凄い音立てて倒れたし……。  修理代、一括で支払えるかな……。無理だろうな……)  などといったことにまで考えが及ぶほどに、今度こそ反省の色を隠しきれないリュミエールは、すでにそこには存在していない(・・・・・・・・・・・・・・)見えない壁(・・・・・)に手をついてため息を吐いた。  そんな状態の彼女の肩に、哀しきかな慰めとは縁遠い手が置かれた。 「な、なあリュミやん、アンタに何があったんかは知らんけど、タテモン壊すほどストレス溜まっとったんか?」 「いや、あたしは別にそんなつもりじゃ……というか言わないで、若干どころじゃなく精神的ダメージが……」 「まあ~、そういう反応になっちゃうよね~」  この場の空気とは相反して場違いなほどのほほんとしている、この場で唯一の教師である小柄な女性。  てへへ……と頭をポリポリと掻くミロスだったが、リュミエールやその他の女子生徒たちは戸惑うばかりだ。 「えっと……、壊しちゃったんですけど、その……、お咎めはないんですか?」 「壊した~? 何を~? それに“おとがめ”ってな~に~?」  訊ねると、逆に歳不相応に子どもっぽく(?)キョトン顔で訊き返された。
/366ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加