戦闘鍛錬と小競り合いと心の靄

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 そんな様子を見てもミロスは今度は先程のように取り乱したりなどせず、もう一度前を向いて歩を進め始めた。リュミエールは当然のように下りようとしたが、しかしミロスの首に回した手を彼女にしっかりと掴まれており、自主歩行は許されなかった。……とはいえ、爪先で地面を削っている状態のままだからなんだか変な感じだ。 「さっき言ったことだけど~」  唐突とも思えるタイミングで話題提起され、リュミエールは「は、はい?」と若干上擦った声を上げてしまった。恥ずかしくなり頬のあたりが赤く染まる。 「リュミちゃんのこと~、なんにも知らないってわけじゃなかったって言った後で思い出した~。  えっと~、リュミちゃんのスリーサイ「それは言わなくていいから!!」」  リュミエールは遅くなったがツッコミを入れた。  こんな場所でそんなカミングアウトして、もし誰かに聞かれでもしてしまった暁には、穴を掘ってもそこに飛び込むだけでは済まされなくなる。顔から火が出てそのまま焼身自殺できるぐらいのレベルだ。 「え~、誰も聞いてないんだし~、言ってもいいじゃ~ん。減るもんじゃあるまいし~」 「あたしにだって減るもんはあるわよ!」  精神的体力とか、その他諸々! 「だったらなんで空欄にしなかったの~?」 「いや、なんとなく空欄にしたら悪いような気がして……」 「リュミちゃんはまじめだね~」  おどけた風に言ったかと思いきや、 「とまあ、冗談はこれぐらいにして~」  これから真面目な話をしますよ、とでも言いたげなことを宣いました。 「はい……?」 (冗談……? え~っと、ってことはアレですか、あたし1人だけ取り乱してたっていう、イタい子パラダイスみたいなノリですか、今のは。  あたしのモヤモヤを返して……いや、いらないか) 「どうリュミちゃ~ん、少しは落ち着いた~?」  再度訊ねられてようやく気づいた。少し、ほんの少しだけかもしれないが、塞がっていたものが取り除かれたような気がする。 「……ミロス」 「ん~? どうかし……」  ミロスが再び目だけで振り向くと、背中には鬼(のような存在)がいた。
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