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「俺だって驚いたよ。嬢ちゃん。奴の知り合いか?」
「知り合いもなにも、カプリさんは私たちの……」
アスカの言葉を遮ったのはコアリスの手であった。
アスカは口を塞がれて、視線だけをコアリスに向ける。
「囚人一○五。話は長くなりそうか?」
突撃隊長が、投げやりに聞いた。無視されたことが気に食わなかったのだろう。
「長くはならない。だが、俺はさっさと監獄に行きたいね」
ロザリオを片手に囚人は笑う。
「隊長。長話は時間の無駄です。早く連行しましょう」
コアリスが、言った。
「コアリス、どうして?」
アスカはコアリスの手が離れてから小声で尋ねた。
「カプリ隊員のことは殆ど知られていないよ。隊長への説明は俺がしておくから。ここは護送を優先させよう?」
コアリスが、囚人を睨みながら言う。
アスカは、頷くしかない。
カプリは、アスカの同僚だ。出張で島を出て行方不明になった。
「抵抗はしない。ただ、ロザリオは俺のものだ」
囚人は、自棄に大人しく地下街を出た。
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