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アスカの周から、多数の人間が消えている。
最初は、両親であった。神官との戦争で殺された。それをヒルという隊員に拾われて事務所に所属した。
次は、ヒルだった。神官との最終決戦中に病死した。
そして、隊長と副隊長が消えた。
それを見計らったようにカプリも消息を立ち、仲良くしていた夫婦も消失してしまった。
アスカにしてみれば、辛い出来事だった。
アスカも今年で二十八になる。隣のコアリスは三十二歳だ。どちらも島を出ずに任務に残っているのは何処かで、行方不明者が帰ってくることを待ち望んでいるからであった。
ただ、不思議なことに、当時の第一等星警隊の隊員を覚えている人物は限られていた。
当時の人間は、島には余り残っていない。唯一、コアリスと副隊長の妻だけが消えた彼等の素性を知っている。
そこに囚人一○五が持っていたロザリオが現れた。
逆十字架のロザリオは、カプリが所持していたものに間違いない。
アスカは、囚人の背中を見据えながら歩く。
「アスカ。話の腰を折って悪かった」
コアリスが、傍らを歩いて言う。
「いいよ。気にしてないから」
アスカは答えたが、囚人ともう少し話をしたいと考えていた。
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