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「看守が取り上げるだろう」
コアリスが、言う。
「その後は保管庫。囚人が死んだら処分」
「奴は終身刑だから処分だな」
「そんな……」
アスカは、コアリスを見上げる。
「内の隊員の形見だと迫ってみるか?」
悩む様にコアリスが答えた。
アスカは、消えた護送車の方へ視線を移した。
「長官に話をして、管理人に言ってもらおう。私達じゃ立場的に無理だよ」
「そうだよな。盗みに入るのも難しいし」
「それは、ダメだよ」
「分かってる。あ、そうだ。あるある。昔、副隊長がやった方法」
コアリスが、何かを思い出したように言った。
「え?」
アスカは、コアリスの言葉に瞬く。
「覚えてないのも無理ないよ。アスカは学校だったから」
「何時の話?」
「変な捜し物の事件があったんだ。その時も囚人の持ち物が絡んでいて。副隊長、証拠の物件だからって回収したんだ」
「そんなことがあったんだ」
「持ち出し資料なら制作できる。警備が終わったら作ってみようか?」
コアリスが、懐中時計を眺めた。
アスカもそれを覗く。
時刻は夕方五時を過ぎていた。
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