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「脳が忘れようとしているんだよ。覚えているのが辛いから。でも、私は皆のこと覚えてるよ。良く、会議を家で開いてた。何か嫌なことがあるとここでお茶飲んで騒いで行った。いきなり事件が舞い込んだって飛び出していくし、お金は払わないからお母さん笑いながら困ってた」
「そうだね。あったね。そんなこと」
「アスカちゃん。無理しないでよ。コアリスさんも昨晩来てたんだ。心配してたよ?」
「そうなんだ。でも、これに秘密があることは間違いないよ。開きそうだけど開かない」
アスカは、ロザリオの柄をミックに見せる。
ロザリオの柄は、蓋のようだ。左右どちらかに回せるようになっている。
ミックが受け取り、数分粘ってはみたが、開かない。
「こんにちは。水ちょうだい!」
入口のカウベルがなって、赤髪の女が節操無く店に入り、それだけ告げた。
アスカが振り向くと、女が気づいて寄って来る。
「アスカじゃない。さぼり?」
「ファムさん」
女は、ファムという。島では有名な守銭奴で、第一等星隊長から島を譲り受けたと言っている女であった。死んだら島を墓として受け取るという承諾書が政府総監に届いていたという。承諾書を書いた隊長は行方不明だが、総監はその意志を否定はしなかった。
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