12人が本棚に入れています
本棚に追加
ファムが死んだら集めた物と島の墓に埋葬する。そう解釈したのだと世間はいう。
「なに、それ? 随分と高価なものね」
ファムの視線は目敏く、ロザリオに気がついた。
「開かないんです」
ミックがロザリオをファムに渡す。
「開く? 中に何か入ってるの?」
ファムが蓋を開けようと回したがびくともしない。
「錆び付いているみたいですね」
アスカは、落胆した。
「それなら、お湯に浸けてみよっか?」
ミックがとんでもないことを言い出した。
「そんなことをして大丈夫かな?」
理由が分からずにアスカはミックを見る。
「ジャムとかの蓋が空かない時は、お湯に浸すんだよ」
ミックが机に置いたテイポットを示した。
「だったらペンチで回した方が良くない?」
ファムが続けて案を述べる。
「ペンチだと壊れるし、水は錆が増えそう」
アスカは、紅茶を飲んだ。
「ねえ。今日はネリーは来る?」
ファムがミックに訊ねる。
「ネリーは明日。今日は孤児院の掃除の日」
「そっか、残念ね。あの子ならこれくらい開けそうだけど」
「ネリーの力だとロザリオが粉砕するんじゃないかな?」
「そうかしら。それにしても働き者よね。お金はあるくせに」
「ファムさんとは違うんだよ」
「なんですって!」
「今、お水お持ちしますね」
ミックが、駆け足で厨房へと逃げ去った。
最初のコメントを投稿しよう!