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「それは当然でしょう。神官が愛用していた文字が刻まれているもの。かなり高価な代物よ」
ファムが喜々として説明を加えた。金目の物の話になると目を輝かせて参加するあたりは昔から変わらない。
「そうなんだ。母さんに見せたら喜ぶかもな」
ライトが、背筋を正す。
「残念だけれど見せびらかすわけにはいかないの。ごめんなさい」
アスカは周りを気にした。
「でも、マナさんならなにかわかるんじゃない?」
ファムがさりげなく助言して来る。
アスカはふと迷った。
ロザリオの存在を知っている人間は、島に数人しか居ない。
刻まれた文字の解読もまだだっただけにマナに見てもらうのもいいかと考えた。
「アスカさん。無理な話でしょうか?」
ライトが、聞いた。
「そうだね。マナさんに見せてみようかな。なにかわかるかも知れないし」
「本当ですか。良かった。母さん、最近元気がなくて。それで少しでも記憶が戻ったらと思ったんです」
ライトが、晴れやかな顔をした。
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