Memory2

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「今から行きますか?」  ライトが、続けて聞いた。 「そうだね。善は急げというものね」  アスカは、席を立つ。  ライトの用事が終わるのを待って、アスカは喫茶店を出た。  ライトの家は、喫茶店から一時間離れたカリオス街にある。  カリオス街は、別名アパート街と呼ばれる街で、格安のアパートメントが建ち並んでいる。  その一角にある三階建ての建物の二階部屋が、ライトとマナが住んでいる場所であった。  ライトの母親は四十の時に痴呆を患った。島や大陸の医療ではどうすることもできない。  記憶が劣化し、生活に支障をきたす。そんなマナの面倒をライトはひとりで看ている。ライトはまだ十代だ。自炊し、働き、生活をしている。学校へは行けないので、読み書きは知り合いのカリンが教えていた。  部屋に入るとマナが編物をしていた。何を作っているのか本人もわからないあたりは重症であった。 「母さん。ただいま。アスカさんが来たよ。見せたいものがあるんだ」  ライトが、真っ先に部屋に入り声を掛ける。 「ん……?」  マナが編み物を止めて顔を向ける。  アスカは、会釈してロザリオを見せた。 「この刻まれている文字はわかりますか?」
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