Memory2

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「え――?」  アスカは聞き返した。 「唄ったのね。消えちゃうって言ったのに。スピカさん、変なところで頑固だから」 「それ、カプリさんに渡っていたんです」  アスカは、マナに迫る。 「それじゃあ。彼も唄を――?」  マナが、顔を上げる。 「わからないんです。だけど、消えたのは間違いないです」 「そう。危険よ。これは詩」 「ウタ? なんのウタですか? 隊長にも渡しましたか?」 「――――ん、ライト。ケーキまだ?」  マナは、ロザリオを置いた。口にしたことなどマナにしてみれば重要ではないのだろう。それとも、無意識なのだろうか。アスカの存在を忘れたようにケーキを突く。  アスカは、マナを見詰める。昔は活発な人であった。それが、時を経て脳の病を患った。話をまともにできなくなって、記憶も曖昧になった。  ライトが首を振る。 「疲れたんだ。ほんとすいません」 「うん。じゃあ、私はこれで」  アスカは、ライトの部屋を出た。  夕暮れ時のカリオス街に帰り客が溢れていた。  朝と夕方がこの辺りを賑やかにする。  アスカは、ロザリオを鞄に入れて下宿先に戻ることにした。  隊長にはロザリオを渡したのだろうか。もう一度、マナに聞く必要がある。
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