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「証拠品を持ち歩かないように」
マドレーヌから買ってきた菓子を置いてコアリスは言った。
「鞄に入ってるから持ってって」
アスカは毛布を被ったまま言った。
「その前に散らかった部屋をなんとかしないと」
「片付けたいならどうぞ」
「足の踏み場くらいは作るよ。それから、ケーキはミックちゃんから」
「ありがとうと伝えておいて」
アスカは、起き上がる気力もない。昨晩からうなされていた。
「日記? こんなに付けてたのか」
「うん」
「番号順に本棚に並べればいい?」
「重ねるだけでいいよ」
「そうか。しかし、地震後みたいだ。棚ごとひっくり返したのか?」
「まさか。自分で投げたの」
「なにか嫌な思い出を引きずり出したわけか」
コアリスが笑いながら日記を棚に戻していく。
「ラッドサンドの神様って、有機物だよね」
「神官はそう言っている。確か、ドラゴンだよ。何億年前に白きドラゴンが舞い降り、槍を無限に突き刺した。それが生命を生み今に至る。そんな逸話がある」
「その話もう少し聞かせて?」
アスカは尋ねた。
「俺は神官じゃないから、神様は無形物だと思ってる。槍にばけた神様が突き刺さって抜いてくれるやつを探しているというのが政府側の考えのほうが笑えるから好き。だけど、それと散らかった日記となんの関係があるんだ?」
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