Memory1

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 倉庫裏に来たアスカは、お得意の検索(サーチ)で悪人を探す。  幼い頃よりアスカが使ってきた能力は、捜し物をする上でかなりの効果を発揮する。  表通りに配置されては、その行動を知られてしまう。それを恐れた第二等の隊長は、アスカとコアリスを必ず、安全圏に配置する。港近くにある倉庫の裏は、警隊が目を光らせて居るために悪人どもは近寄らない。 「アスカ。空からの方が良いんじゃないか?」  表を眺めてコアリスは言った。  アスカは意識を集中させたまま、両手を組む。 「奴らは島中に点在してる。それが良いかも知れない」  アスカは、コアリスの提案を飲んだ。  コアリスの傍らに鷹が一羽生まれる。  コアリスが種術で作り出した式紙という生物であった。  鷹は、リスキーと呼ばれて巨大化する。それこそ大人二人を運べる大きさだった。 「アスカ、行こう!」  コアリスがリスキーに飛び乗る。アスカもそれに同行した。  リスキーは、高度を上げる。上空で制止してゆっくりと前進する。  アスカの脳裏には、隠れ潜む奴らの居場所が徐々に集まってきた。  リスキーが再び止まったのは、スラム街の上であった。  スラム街も第一星警隊が潰れてから随分と様変わりした。
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