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荒い風が吹き荒れる中、“それ”と我は対面していた
“巨人”…いや、それはすでに人の形とは言えなかった
首が痛くなるほど見上げる
10メートルなどすでに超したような
それほどまでにそれは大きかった
“彼”と目があった
そこだけ何もない、ぽっかりとした空間
我の知る限り、その何もない目では何も見えないはずだ
それでも彼は我を見ていた
他人の魂を食い散らかし膨張した体
丸い塊とも言えるし、人形にも見えなくはない
異形ではあるし、影でも霧でもあった
そんなめちゃくちゃな物体が我の目の前にいた
「めちゃくちゃだね」
独り言ですよ
その言葉は、哀れみも蔑みも悲しみも憤怒も呆れも、全てを取り込んだ溜め息と共に地に落ちた
神は我が邪魔なのだろう
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