命令

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「チッ…」 舌打ちと共に地面を蹴ると 今までいた場所に鋭利な黒い影が突き刺さる 一気に間合いを詰めて、相棒の鎌をその分厚い肉塊に差し込む スパッ と心地よい感触の後、その部分が真っ二つに裂ける そこまではいいんだ 「ぉわ……っ!!」 ちょうど首もとを狙って、鋭利な黒い影が襲いかかってくる 小回りの効くそれは、本体の肉塊からは想像もつかないほどの速さで我の体力を奪っていった 切っても切っても増えるし 休む間もくれやしない ほんの少しずつ我の体を掠めて、浅い切り傷ばかりが体を傷つける それにあり得ないほどの回復力 先ほど真っ二つにした肉塊は、鋭利な影にてこずってる間に何事もなかったように綺麗さっぱり治ってしまった 「こんなことアリ?ヤバい感じだねこれ」 クルッと宙で1回転して地面に着地する 休む間もなく横に転がると ズビビビビッ!!! と音を立てて今いた地面に影が突き刺さった 「めちゃくちゃすぎるでしょ」 冷や汗が頬を流れ フードの奥から肉塊を睨む 正直言って勝ち目が見当たらない このままかすり傷ばかり増えれば、いつか必ずスキを生んでしまう スキをつかれれば間違いなく鋭利な影は我の首を掻き切り心臓を突き刺すし、 まだ肉塊本体はなんの攻撃も繰り出していない 手の内がわからない以上、勝ち目は無いに等しいかもね 「まあでも安心してよ」 バッと地面を蹴り宙へ身を投げる 「もともと君の運命は決まってるんだから」 影を凪払い肉塊に鎌を押し込む 痛みを覚えたのか 悲鳴にも聞こえるうなり声をあげるジャック 「君が死ぬか、我と君が相討ちになって死ぬか。それが君の運命なんだよ」
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