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「ここが今日から住む新しい家か。昔に家族でこの辺に住んでたなんて全然覚えてないぞ」
そろそろ夕食時かと言う時刻、少し闇に染まりつつある空が綺麗に映える。
「明日が入学式でしょ。半ドンだからこの辺の必要な部分だけ見て飯の材料買って荷物の片づけして…、うぁー、多忙だなぁ」
とある少年の目の前には親が言うには昔自分達が住んでいたらしい家。
ただ、この場には少年一人しかいない。少年の言う家族の姿など人っ子一人見当たらない。
「とりあえずは家に入って晩飯にしようかな。カップラーメンしかないのが何とも言い難いんだけど…」
その背にはリュックが背負われており、外側のポケットにはまだ中身の入ったペットボトル(ラベルに梅と言う字が見える)やお菓子の箱(パイの実・ミルクティー風味)が詰められており、見た目もパンパンにつめられているのが分かる。
「明日叔父さんにも御礼言っとかないとな。一人暮らし……は前々からやってるけど離れた場所に移るのを許可してくれたんだし」
少年は所謂中肉中背。髪は日本人らしい真っ黒な髪、寝癖様が大暴れしているのは御愛嬌。
「明日も早いんだし、やる事はてきぱきやって早めに床に着こうかな」
顔は普通よりも少し整っている程度。しかしその何処にでもいるような顔にも関わらず、人目を引きそうな箇所。
「さて、昔の我が家へLet's go!」
その右目には、髪と同じ真っ黒な眼帯が。
これが、少年の新たな物語の始まりを告げる一歩。
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