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賑わう夜の街とは裏腹に静まりかえる港はパトカーのサイレンを辺りに響かせていた。
囲むようにパトカーの中心では倉庫が佇む。
関係者以外立ち入れないであろうその倉庫は、電灯の光だけを頼りに薄暗く中を照らす。
本来ならば誰もいない筈のこの時間。
奥で物音が聞こえた。
警察官たちが固唾を飲んで犯人の動きを注意深く見守る。
婦警官が安心させるようにその背中を撫でる。
嗚咽をしながらその様子を祈る女性は母親。
最近街を騒がせていた男がこの建物の中にいる。
男は指名手犯で話題の強盗殺人犯。
望みは金。
――人質は6歳の男の子。
緊迫した空気がこの場を覆う。
「 」
先頭に立ち、機械を持って交渉する警部。
ここからじゃあ煩いくらい良く聞こえる。
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