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「館内は禁煙だったはずでは?」
少女はバックに入れておいた本を一冊取り出し、目の前で堂々と一服している館長の頭を、言葉と共に手にあるもので叩く。
しかし館長である男性は、本で叩かれた事実など無かったかのように、読んでいた本から目を離し、微笑みながらこう言った。
「やぁ、こんにちは。今日は何故ここに?」
「…こんにちは。本の返却に来たんです」
本で叩いたことを素通りされて少し眉間に、シワがよった少女は、館長が加えていたタバコを奪い取り、近くにある灰殻が山積みの灰皿に力一杯に押し付けた。
そこは館長が集めた珍しい本がある図書館。図書館といっても、小さな建物で一階しかなく。あまり人の目にとまらない、狭い路地に入り口がある小さなものだ。
これはそんな小さな所での、他愛ない会話。
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