おかえり

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「あら太一。昨日は夜遅くまで部屋に明かりが点いてたけど何してたの?」 と、いきなりとんでもない話をふっかけてくるのは僕の母さんこと美作春菜(ミマサカハルナ)、四十近いのだがそんなことを微塵も感じさせないパワフルな人だ。 僕と美華が付き合いだしてから(いじるために)帰ってきたらしい。 「何もしてないよ」 昨日は美華と一緒に夜中まで今日の計画について話し合っていただけだ。 「もう・・・ナニしてたんじゃないの?」 「あんた何歳だよ!?発言が中学生レベルだよ!?」 「失礼ね。私は29歳と119ヶ月よ」 「もう三十路を越えてから十年経ってるんだからその言い方はやめた方がいいんじゃないかな!?」 「この言い方をするとみんな笑ってくれるのよ」 さすが芸人の嫁と言いたいが、人間的にはもうダメ街道まっしぐらだ。 「顔を引きつらせてね」 芸人の嫁としてもダメ街道を進んでいたようだ。 「明らかに苦笑されてドン引きされてるからやめときなよ」 「十年近くこれで頑張ってるのよ!?今更引き下がれないわ!」 「一発屋芸人よりしぶとい!!」 もう父さんと夫婦漫才でもすればいいんじゃないかな?
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