1章

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 母上からの愛ある目覚まし代わりの罵声と、明らかに手抜きだと思われる朝食を受け取り腹にきっちりおさめ、俺は今新しい学校へ向かっている。  しかし朝食が食パン半分とは、どうやら我が母親は食べ盛りの男の胃袋を舐めているらしい。足らないなんていうレベルじゃない。この分では登校中にぶっ倒れてしまうかもしれんな。  何しろ今日から新しい学校に通うのだ。楽しみじゃないと言えば嘘になる。そんな日に食パン半分とは、全く……。  と、半ばマジで鬱になりつつ歩いていると、後ろから水素より軽い声がかかってきた。 「よう、元気か?蒼真。見たかんじ、そうは見えんが」  朝からテンション高めのこの軽ーい男の名は、木村徹平。こういう日には一番会いたくないタイプの奴だが、一応中学の時の同級生だ。 「見えんのなら聞くな。こっちは朝から雨だの食パン半分だので機嫌悪いんだ」  つくづくついてねぇな、今日は。
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