1章

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 しかし、こんな嫌な天気でもハイテンションで喋れるこいつは何なんだろうか。その元気を分けてもらいたいもんだね。 「---つまり、愛ってのは一時の気の迷いであって、そんなもんにいちいち反応してちゃ身が持たないんだよ」  いつの間に愛の話しになったんだろうか。 「だからよ、俺はもう恋愛はしねぇ。金輪際だ。この人だ!って思った人だけだ」  そうですか。どこまでもつか、疑問だな。大方保健室の先生が美人だー!とかいって、また叶わぬ恋を俺に語るんだろうよ。 「はん、言ってろ。俺はもう中学生じゃないんだ。大人なんだよ」  実際、卒業してからまだ1ヶ月と少ししか経ってないんだが、それに気付かないこいつはやはりバカなんだろう。そんなすぐに大人になれるわけない。 「やっぱり最初は映画館だよな。さりげなく隣を2時間キープできるし、その後の喫茶店での会話も弾みやすい。んー、恋愛物か、アクション物か、どっちだろうか」  ホラーなら抱き付いてくれんじゃねぇの?とか、適当に返答している内にようやく学校に到着。つーか、こいつ恋する気満々じゃねえか。
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