序章 0から始まる物語

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「ねえ、さっきからどうしたの? おにいちゃん」 「っ!?…………あぁ、さくらか」 「『さくらか』じゃないよ! またボーッとしてたじゃん。 最近多いけどほんとどうしたのさ?」 何でもない。俺はそう言って話を逸らす。 確かに心配してくれるのは嬉しいけどさ。 俺としてはこいつを、そう、月見里さくらを巻き込むわけにはいかない、そう思っている。 …………………まったく。 こんなにさくらが引きこもりで良かったと思ったのは初めてだぜ。 「ところでお前、今日も学校行かないのか?義務教育終わるぞ?」 「えぇぇぇぇ、だって今日の午前中はネットサーフィンするつもりだし~、午後は沙久さんと語る予定だから………… あっそうだ!明日!明日から本気出す!」 「それもう78回も聞いたぞ」 「なんで回数覚えてるの!?」 プライバシーの侵害だーとか一人でぎゃーぎゃー騒いでいるが、俺はどことなく安堵する。 ふと、突然さくらが騒ぐのをやめて、俺に質問してきた。 「そう言えば、最近綺月さん来ないよね~。 おにいちゃんとは幼馴染みだし、いい線行ってると思ったんだけど。 なに?振られでもした?」
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