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「仕方ないだろ。あの時代は。動乱の世で しかも日本を変えようとしてたやつなら死と隣り合わせなんだから。」
死と隣り合わせ。
今の世界とじゃ全く違う。
ある意味、私は死に近い場所にいるけれど、それとは全く違う。
「みて…みたいな…」
小さな小さな声で口から飛び出した私の呟きは、どうやら由樹に届いていたようで、
「なにいってんだよ。いつ殺されるかもわからないとこになんて…」
「それは今と変わらないよ?」
「…っ」
由樹の顔が苦しげに歪む。
…そんな顔させるつもりじゃなかったのに…
失言、してしまった。
とにかく空気をどうにかして変えたくて、私は必死にネタになるものを探す。
「…あ。」
由樹の横にある。スポーツバックからはみ出した抹茶色のビニール袋。
それはもう見慣れてしまっているもの。
「…由樹、また買ってきたの?」
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