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――
ことが終わって、慌ただしさが消え去った病室。
「…可哀想ね、月城さん…
ご両親もお兄さんもあまりお見舞いに来ないし…
学校もいってないから、友達といっても由樹くんだけだし…。」
「あら、あなた知らないの?
ほたるちゃんはあの家の子じゃないのよ。
ほら、あったでしょう?あの事件の…」
「えっ?…そうなの?
じゃあ、あのお兄さんも…」
「ええ。地が繋がってないの。
でもほんと、切ないわね…
家族にまで邪魔物扱いだもの…」
「ほんと…可哀想…」
もうろうとする意識のなかで、看護師二人の会話が聞こえてくる。
私がもう、完全に眠ったと思って話しているのだろう。
『可哀想』
それは昔から何度も何度も言われてきた言葉。
やめてよ。
同情なんてほしくない。
分かってる。ほんとは皆、私をどうみてるのか。
蔑んでいるにちがいない。実際私はたくさんの人に恨まれている…
私が…
犯罪者の子供だから―――
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