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おお!
もうこんなに片付けてしまったのかい。
すごいな。思っていた以上に仕事が早い
見違えたよ、まるで雰囲気のいい図書館だ。
お給料を少し奮発しないといけないなこれは。
そうだ。お給料といえばそれでなにをするんだい?
少し気になっただけなんだがまさか貯金の為だなんて言わないよね。
もしそうだとしたらやめた方がいい。
お金といっても使わなければただの紙切れなんだ。
貯めることに意味があるとは思えないよ。
使わないお金ほど無駄なものはないと言えるね。
消費すればこそ意味があるものを消費しないというのは、金という存在を根本から否定しているようでならない。
そもそもお金というものに執着するというのはどういった価値観から生じるものなのかぼくには少し理解し難いところなんだ。
っと。また余計なことを。失礼。
ぼくの悪い癖だ。
とにかく、初日から張り切ってくれてるみたいでぼくも嬉しいよ。
でも、休憩もとらないで働きっぱなしというのは叱るところかな。
合間合間にきちんと休憩をとるのもまた、仕事のうちだよ。
そう、それでいい。
こういうときに素直に言うことを聞けるというのは、大切なことだからね。
珈琲を淹れてくるから座ってて。
ん、その本……。興味があるのかい?
ははは、でもその本はやめた方がいい。
殺人鬼である二人組の奇妙な恋の詩集さ。
インクでもこぼしたのか途中でページが真っ黒になって先が読めないんだが、まあ、たぶん読んでから後悔する間もなく、君の精神が滅茶苦茶にされるよ。
ふふ、冗談だ。
でもやっぱりその本はやめた方がいい。
それはぼくの方で預かるよ。
あまり人にいい影響を与える本ではないからね。
来るべき時に、渡るべき人の元へいく。
そういう本なのさ。
さ、じゃあその隠してるもう一冊も出してくれないかな?
……それは。
ふふ、また面白い本を選んだものだ。
ん? いやいやそれは大丈夫。
別に人を食べたりもしないし、読んでも悪夢に苛まれもしないから。
ただ、ちょっと胸が痛くなるかもね。
そう、悲しい悲しい、ある旅人の日記さ。
生まれてきた意味を探す旅人の終わりの物語。
ふふふ、それなら読んでも平気だよ。
悪影響を与えるような本じゃあない。
でも……、そうだな。面白いことを考えた。
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