70人が本棚に入れています
本棚に追加
「頼むよ。今度奢るからさ」
「……前にも聞いた台詞だな」
呆れつつも、友樹は自分の鞄を開き、彼が必要としているであろうノートを取り出す。
その様子に、清太は満面の笑みを浮かべる。
「ありがとうございます! 流石は……」
そこで一瞬、彼の思考は停止する。ノートを清太に手渡しながら、少し疲れたような表情を見せる友樹。
その表情に、深い穴の中を覗いたような感覚を覚えたのだ。
「……? どうした、窓口」
「あ、いや、あの……」
挙動不審になりながら、彼は後退りする。その様子に、友樹は再び呆れるような表情を見せた。
「まさか『また』……そのノートをコピーして誰かに売り付けようって魂胆じゃないだろうな」
「ま、まさか……! そんなことしないよ!」
「……ならいいけどさ」
疑うような視線を向けながら、友樹は閉じた鞄を足元に置き、深い溜め息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!