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その頃、『天才』の協力者である少女は、あまりの衝撃にその大きな瞳を更に見開いていた。
「なんでよ……」
小刻みに震える体と連動し、俯く彼女の長い黒髪も揺れる。
その後ろには、彼女の友人と思しき数人の少女が立ち、彼女に呆れたような視線を送り続けている。
「何で私の『アップルココア』が売り切れてるのよぉおおお!」
自動販売機の前で叫ぶ少女、神々重 唯。その肩に手を置き、友人の一人が重い溜め息を吐く。
「諦めなって。無いもんは叫んだって無いわよ」
唯はくるりと振り返り、潤んだ瞳を友人に向ける。
「冗談じゃないわよ! アップルココアを飲まずに、どうやって午後の授業を乗り切れと言うの!?」
「そこは頑張れよ」
「頑張れるなら叫んでないわよぉおお! 愛しのアップルココアーー!」
「…………」
面倒くさくなった友人達が、彼女を放置して立ち去っていく。
がっくりと項垂れる唯。その後方に、友人ではない何者かが足を止めた。
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