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他人を貶め、欺き、陥れる遊戯、『密告遊戯』。
刻一刻と近付く開催の日を前に、『彼ら』は挑戦者達を嘲笑う。
「竹田 香林様」
夕焼け空と共にオレンジ色に彩られた坂道で、名を呼ばれた少女は振り返る。
彼女の瞳に映るは、スーツ姿の強面の男。
怪しい。と、普通ならば警戒するところだが、彼女はその男に見覚えがあった。
突如として唯を迎えに来る、『密告遊戯』の運営委員の男である。
名を、『逆木(サカギ)』と言っただろうか……。
「何の用……ですか?」
強気で挑もうと試みるも、その表情に圧されてあと一歩のところで折れる香林。
結局、素性を知っていてもその男のことを警戒せざるを得ない。
しかし当の逆木が深々と頭を下げ、再び頭を上げた時には、彼女の警戒心も少しだけ和らいでいた。
「厳正なる選考の結果、貴女を次回『密告遊戯』にご招待することが決定致しました。今回はそのご連絡と、参加の是非を確認に参りました」
願ってもない申し出。しかし、突然のことに彼女の顔は引きつっていた。
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