接触

3/12
前へ
/201ページ
次へ
  同じ頃。 「……密告遊戯って、あいつが出てるヤツですか?」 「あいつ……友樹様のことですか。ええ、第一回大会よりミスター友樹は全てのゲームに参戦し、そして勝利しています」 「へぇー。凄いのな」 黒いスーツ姿の女性の言葉に、青年が感嘆の息を漏らす。 「で、それに出て俺に何をしろと?」 首を傾げる青年。スーツ姿の女性は全く気を遣う様子もなく、無表情のまま言葉を紡ぐ。 「あなたのご友人を、王座から引き摺り下ろして頂きたいのです」 「……はっきり言うねぇ。あいつはあんたらの仲間じゃないの?」 「ミスター友樹は仲間などではありません。彼は神気取りの餓鬼です」 「酷いな……」 そう言いつつも、彼はケラケラと笑い出す。 「ま、そこまで言うなら出てあげましょうかね。あいつを騙せるとは思えないけど……」 それまで無表情だった女性は、その返答を受けて僅かに微笑む。 「感謝します。『溝口 清太』様」 その生意気そうな青年――溝口 清太は、妖しげな笑みをスーツ姿の女性に向けた。  
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加