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同じ頃。
「……密告遊戯って、あいつが出てるヤツですか?」
「あいつ……友樹様のことですか。ええ、第一回大会よりミスター友樹は全てのゲームに参戦し、そして勝利しています」
「へぇー。凄いのな」
黒いスーツ姿の女性の言葉に、青年が感嘆の息を漏らす。
「で、それに出て俺に何をしろと?」
首を傾げる青年。スーツ姿の女性は全く気を遣う様子もなく、無表情のまま言葉を紡ぐ。
「あなたのご友人を、王座から引き摺り下ろして頂きたいのです」
「……はっきり言うねぇ。あいつはあんたらの仲間じゃないの?」
「ミスター友樹は仲間などではありません。彼は神気取りの餓鬼です」
「酷いな……」
そう言いつつも、彼はケラケラと笑い出す。
「ま、そこまで言うなら出てあげましょうかね。あいつを騙せるとは思えないけど……」
それまで無表情だった女性は、その返答を受けて僅かに微笑む。
「感謝します。『溝口 清太』様」
その生意気そうな青年――溝口 清太は、妖しげな笑みをスーツ姿の女性に向けた。
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