70人が本棚に入れています
本棚に追加
「……」
「理解してくれたかしら?」
カードをまじまじと見る友樹から、それを奪うように取り上げる優輝。友樹は尚も取られたカードを見つめている。
「あら? これが欲しいの? あなたも持っているでしょう」
ケラケラと笑う彼女に冷たい視線を送り、友樹は自分のポケットから財布を取り出す。
その中に納められたカードの一枚を抜き、目の前の女性の足下に投げる。
「俺にはもう不要な物さ」
アスファルトの上に落ちたカード。それは紛れもなく、彼女の持つそれと同種のカードだった。
「不要? あなたは運営委員の筈でしょう……」
「次回のゲームじゃ、俺は運営委員の権利を剥奪されるらしい。あんたも運営委員だろうに、そんなことも知らないのか?」
その言葉に、優輝は驚いた表情を見せる。
「それは初耳ね。成る程。私が呼ばれたのは『そういう理由』なのね」
「呼ばれた?」
「ええ。次回の『密告遊戯』には私も参加させてもらいますので、御手柔らかにお願いしますね」
深々と頭を下げる彼女に、友樹は訝しげな表情を向けていた。
最初のコメントを投稿しよう!