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優輝の華奢な背中を見送った後、友樹は携帯電話を取り出し、どこかに電話を掛ける。
「あ、唯ちゃん? いやぁ、ごめんごめん。ちょっと『お客さん』がいたものでね。ハハハ」
愉しそうに、しかしどこか物憂げな表情を浮かべながら、彼は口元を歪ませる。
「んー、うん。何だか運営が俺を蹴落としたいみたいだからさぁ、今回は辞退するつもりだったけどねー……」
ちらりと坂の下を確認する友樹。同じ名前の女性は、既に姿が見えなくなっていた。
にやりと笑い、眼下に広がる街並みを見下すように髪を掻き上げる。
「ちょっとだけ……ほんのちょっとだけ楽しみになってきたから、参加することにするよ」
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