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逆木はゆっくりと唯に近付いていく。
唯はすぐに厚い学生鞄を手に取り、教科書などを詰め込んでそのスーツ姿の男の言葉を待つ。
「神々重 唯様。竹田 香林様。お迎えにあがりました」
――……!?
一瞬、彼女の時間が停止する。否、クラスにいる全ての者の時間が停止していた。
ただ、一人を除いて……。
「ええ、行きましょうか」
目をギラギラと輝かせ、悪戯な笑みを浮かべながら立ち上がる香林。その瞳は、驚く唯の表情を刺し貫いていた。
「何か言いたそうね」
「香林ちゃんが……何故?」
「そんなの決まってるじゃない」
分からないの?とでも言うように、彼女は馬鹿にしたような顔を唯に向ける。
「あなたを蹴落とすためよ」
『密告遊戯』運営委員の狙いは、過原 友樹だけではなかった。
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