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明らかに場違いな住宅街を通る、黒いリムジン。その車内を、嫌な沈黙が支配している。
この『密告遊戯』の会場へと向かう車内。いつもなら、運転手と逆木を除けば友樹と唯の二人が存在する筈だった。
しかし、今回は何故か香林と唯の二人になっている。
当然、会話は無い。
何故香林が密告遊戯に参加したのかなど、疑問は幾つもあったが、必要な問いの答えは全て分かっていた。
つまり、密告遊戯の運営委員達は、『そうまでして』王者を引き摺り下ろしたいのだ。
そして唯は、自分のすべきことを理解していた。
友達が参加しているとて、動じてはいけない。そしてどんな苦難が訪れようと、過原 友樹を信じる。
それが彼の協力者たる、神々重 唯の役目だった。
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