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スーツへと着替え、再び逆木に着いていく唯と香林。
二人の表情は固く、リムジンの中と同様に会話は全く無い。
スーツを着慣れていない香林は、どこかぎこちない歩き方をしながら、少し速足で着いていく。
そうして辿り着いた広間のような場所で、唯は漸く声を上げた。
「友樹さん!」
視線の先には、優しそうな笑みを浮かべる友樹の姿。しかし、彼女はその名を叫んだことを後悔した。
貫くような視線に秘められた、純粋なる敵意。それが多方向から、ほぼ同時に向けられたのだ。
しかし唯はその視線の主達を確認することはなく、友樹の元へと急ぐ。
確認することに意味は無いと、知っていたのだ。このゲーム、友樹を除いた全員が、彼女の敵なのだから。
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