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「鍵本 忠司(カギモト タダシ)様、脱落です」
「あ?」
瞬間、下卑た笑い声を上げていた男が停止する。
文字通りの、『停止』。その顔に表情は無く、ただ瞬きもせずに静止している。
無理もない。その脱落者の名こそ、彼の名前だったのだから。
そんな彼に構わず、アナウンスは続く。
「これにより、第四回『密告遊戯』は終了となります。優勝者は『過原 友樹』様です。密告成功数は四回、更に一人勝ちですので、賞金は七千万円となります」
淡々と賞金額を発表するアナウンス。友樹は漸く口元を歪ませ、妖しげな笑みを浮かべる。
その後ろで、忠司を睨み続けていた少女が、必死に笑いを堪えながら顔を逸らす。
「ぷふっ……」
堪えきれず小さく吹き出した彼女に、鍵本 忠司は漸く表情を変え、怒りを露にしながら友樹の方へと向き直る。
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