70人が本棚に入れています
本棚に追加
「随分、早いのね。朝食にはまだ時間があるわ」
「そう言う君も、ね」
ケラケラと笑いながら、訝しげな表情の優輝の元へと歩いていく清太。その距離が、段々と近付いていく。
彼は席に着くこともなく、テーブルに片方の手を置き、優輝の顔を覗き込むように屈む。そして、彼らしからぬ真剣な表情を浮かべた。
「君の『お仲間』は随分と優秀みたいだね」
「……!」
「もしかして、君、何か『狡いコト』とかしてないよね?」
それは、一回戦目で彼女が友樹を脱落させたことを言っているのだろう。
ゲーム開始から一分と経たぬあの時に彼の役職を知るなど、普通に考えれば不可能である。
彼女の所属する、『運営委員の者』以外には……。
彼女が運営委員の仲間から情報を得ていると言うのならば、このゲームを真面目に戦うなど、こんな馬鹿馬鹿しいことはない。
「……どうかしらね」
彼女は清太から顔を背け、それ以上何の言葉も発することは無かった。
最初のコメントを投稿しよう!