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『双葉 麻衣子様、脱落です』
「はぁあぁぁあ!?」
得心がいかぬ。そんな思いを体現するように発せられた女性の声が、悲鳴の如く室内に響き渡った。
その声を聴いた直後、彼女を脱落させた男は、裂けてしまうのではと思う程に口角を斜めに引き上げる。
最早、取り繕うことすら忘れていた。
誰かを脱落させる者として、奪う者として、勝利者としての幸福が、その胸を満たしていく。
そしてその恍惚たる表情が落ち着かぬ内に、彼は端末に表示された『もう一人』の名を選択する。
「キヒッ……ヒッ……」
誰にも聞き取られぬように怪しげな笑い声を溢し、忠司は躊躇うこともなく『暗殺』のコマンドを実行した。
「これで……二人目だ……」
焦点の定まらぬ瞳は淀んだ色に染まり、心はドブのように濁る。彼は既に、真の悪党と成り果てていた。
「さっきの敗けを帳消しにできる……。だが、まだこれからだ……」
呟きながら、何処へともなく視線を動かす忠司。その瞳が、椅子に腰掛けたまま彼を睨み付ける生意気そうな女性の姿を捉える。
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