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青い空の下…草花がサワサワと風に揺られる草原に黒く、ボロボロなローブを着て中には黒いシャツ、黒いベルトを巻いている黒いパンツに黒いブーツ。全てが黒い男が立っていた。
「グルルル」
男の目の前には鱗も瞳も皮も何もかもが赤いドラゴン・・・この世界ではよく見かけるレッドドラゴンである。
?「お前に恨みはねーが・・・死ねよ?」
黒ずくめの男はそう言うと身構え、ドラゴンを見据える。いつでも動ける様に。
「グアアアアア!」コォォ
ドラゴンは口に炎を濃縮し。そして留め。男に放出しようとする。その赤い光は一般人なら骨をも焼き尽くす程の威力があると感じさせる。
?「来いよ…そのブレスじゃあ…死なねぇけどな」
男に焦りは見えない。むしろどーぞ放ってください!ヒーハーという感じだ。余裕とも取れるその態度は、少しばかりか傲慢も含まれているように見える。
カッ!
放たれた炎の熱閃は男を焼き尽くした・・・・かに見えた。男がいた場所は大地も焼け、草花は消滅。空気はチリチリ…と熱に侵されている。
「グル!?」
ドラゴンは辺りを見回し男を探す。しかし、後ろ、横、どこを探してもいない時…上から声がしたことに気付き、見上げる。
?「温いんだよ」
男は生きていた。炎ブレスが体に掠りながらも笑みを浮かべて。プスプスとローブが焼け焦げているが、肉体やローブの中の服が燃えぬ様に空中で捨て、一気にドラゴンの腹近くへと急降下する。
?「フン」ドゴォ
男はドラゴンの腹にストレートをかました。腹と言っても体格差で下腹部の下辺りなのだが。それでもドラゴンを悶えさせる一撃であった。
「ガッ・・・」
ドラゴンは呻き、後ずさりする。口からはヨダレを垂らし顔を下に向けしばらくは動かない様子だ。
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