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だがジャンプ練習で、単発で跳ぶだけなら成功率は上がっている。調子のいい今日なら二本の四回転と両方、成功できるかもしれない。
結局舞愛はショーンの指示通りクリーンな3ルッツ‐3ループを跳び、そして降りた。
今となっては謎の指示だが、いつものショーンの気まぐれ、くらいに解釈してそんな疑問はすっかり忘れていた。
ちなみに直前の6分間練習はクワド(四回転)と、昨日のショートでレベルを落とした要素の確認……というごく普通の指示があっただけで、三回転‐三回転は本番でも跳んでいない。
「…何か意味あったんですか?あのジャンプ練……」
怜がまた悪戯っぽく笑って、答えた。
「採点競技……特にフィギュアスケートなんて99%個人戦だからね。他の選手の動向なんかより自分の演技に集中するように言われるし、それが正確だと思うけど。
…これが意外と難しいんだよね。
特に本番当日の練習、そして他の選手の演技…って、他人は意外と注目してるもんだよ。特にコーチ陣はね」
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