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「足首をどうしようもなく痛めてしまってね……。
場所が場所だしあれ以上、方法がなかった。他の場所なら筋肉で補強するなり引退覚悟でメス入れるなり……できるんだけど」
怜が少し淋しそうにうつむいた。
なぜか、告白された時の怜の表情を突然思い出して、舞愛も慌ててうつむいた。
(き、聞いちゃいけなかったのかな…この話)
「アイスダンスの場所、相手がいるしね……リフトなんか失敗したら相手の選手生命、どころか命に関わるし。
正直、その時だけはシングルの選手が羨ましいと思った」
頬杖をつき、グラスの氷を見つめながら、怜は独り言のように話し続ける。
「クワドラブルサルコウ‐トリプルトウループ‐トリプルループ」
……呪文?
と一緒思ったんだが、ジャンプの名前だ。
四回転サルコウ‐三回転トウループ‐三回転ループ。
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