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「陛下の長年の辛苦が報われたおめでたき日に余計な事を申しました。どうかお許し下さい。ささやかですが、祝いの膳を用意しております。」
大きな声を出した己を前に、桜妃は気遣うように言った。
「感謝する。」
だから桜妃は手放せない。
私の一番の理解者だ。
「立派にお約束を果たされ、お母上様もきっとお喜びでしょう。」
ー蕎、よく頑張りましたね。ー
何より聞きたいのは母の褒め言葉だった。
「桜妃」
「私もとても嬉しいのです。ようやく陛下の宿願が叶い、これからはお心安らかにお過ごしになれるのではと。」
簡単な事ではない。
内政も外交も先帝の病で滞った問題が山積みであった。
「お忙しいのに変わり無い事は分かっております。ですが、これからは少し休まれてもよろしいのでは。」
「そうだな。そうしよう。」
いつも欲しい言葉をくれる桜妃。
「春宮が、陛下にお祝いを申し上げたいと申しておりました。」
「しばらく顔を見ていない。明日、参ろう。」
唯一の宮であるというのに、近頃全く訪れていなかった。
「ありがとうございます。」
ただ1人、大切に思える女。
桜妃を皇后に迎えられていたら、何かが変わっただろうか、、、
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