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指輪
真っ白に積もり
輝いた道の真ん中で
手袋もしていない
かじかんだ
君の手をにぎり
浮かれた足取りで
向かった銀細工屋
初めて二人で買った
お揃いの安物指輪
笑顔で過ごした1日
帰り際バスに乗り
手を降る君を見たのが
最後だった
お別れの時も
嬉しそうな夢でも
見ているかのような
寝顔にも見え
君の好きだった
華と指輪を添えて
暗い部屋へ送り出す
いくら堪えても
何度拭っても
涙が止まらなかった
あれから3年
今でも付けているよ
最初で最後の
二人お揃いの指輪
ふと見上げた空に
君のあたたかい笑顔が
見えたような気がした
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