ウルフマン

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ウルフマン

君と出会ったのはそう 木漏れ日さす森の奥 腕に持つ籠に花束 華奢な身体に白い肌 吸い寄せられるよう 瞳は君に奪われた 僕は病気なのだろうか 君のことを考えると 胸が痛いんだ 何故なのだろう これがアイなの? 君に逢えること 僕の一日の幸せは そんな小さなこと それだけだったのに ある満月の夜 僕は深い眠りについた 夢の中にまで見た君は とても美しく 真っ赤な薔薇を抱いて眠る 朝目覚めると 何故だか急に涙が零れた 無残に散った赤花 霞んだ目に飛び込む 濁りきった現実映像 黒く汚れた手に 横たわる血塗れの君
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