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みぎ手
君はとても寂しがり屋で
いつも私の手を
にぎっていたね
貴女と手を繋げる
この瞬間が最高の幸せ
君は言った
君と過ごした5年
秋の声を聞くと共に
突然な別れ
遠い街に行く私に
しがみついて泣いてたね
私だって悲しいんだよ?
少しずつ離れていく
君を見て不安になった
私がいなくても
大丈夫なのかな
冬がきて
春になり
夏が過ぎて
何度目かの秋がきた
慣れた場所
帰ってきた
私の頭に
ふと君が蘇る
ある時
街角で見かけた君は
私よりも背が高くなって
私の知らない誰かと
手を繋いでいた
私が側にいなくても
ちゃんとやっていけて
いるんだと安心した
そして少し嬉しかった
なのに
どうしてかな
胸が苦しいよ
うつ向いて
歩いた時に見えた
私の右手が
少し寂しかった
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