01.*契約*

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いっちゃんはタブン気を遣ってくれたんだと思う。 あたしが男の子からの告白が好きじゃないから。 「…ごめんなさい」 昼休み。 体育館倉庫付近。 呼び出された指定の位置で待っていた平野くんに頭を下げる。 あたしとしては、彼の存在も知らなかったのだけれど。 「……え、俺結構モテるんだけど。 俺もダメ?」 心底意外そうに平野くんが聞いてきて、それに気まずい中小さく頷いた。 それを見た平野君が不機嫌そうに顔を顰める。 「……随分とお高くとまってるんだね」 「……すみません」 「ハ、謝るんなら付き合ってよ」 「………」 なんだ、この人。 タチ悪い、絶対。 心の中で舌打ちしたいような気分に駆られながら黙って俯く。 「あーあー。 友達になんて言おう。 すげぇ恥さらしだよな-」 ぐ、と顎を持ち上げられて、顔をムリヤリ上げさせられた。 「や、めて…っ」 「は? ホント、さ。 可愛いから調子こいてんの?」 「な、なんで…っ」 なんで、そうなるの…っ! ブンブン、と首を振ってなんとか彼の手から逃れる。 すると、逃がさないとばかりにガッと制服のリボンを勢いよく捕まれた。 擦れた痛みが首筋に走る。 ―――殴られる。 危機感を感じて、反射的に目を瞑った瞬間だった。 「………安眠妨害」 体育館倉庫の中。 少し甘めの声が響いたのは。
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