01.*契約*

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泣きたいような、気持ちで向けた視線の先。 ―――飯島海。 彼が、体育館倉庫の小さな窓から顔を出していた。 「……っと!カイじゃん!ぃよっ!」 あたしのリボンを掴んだまま、平野くんが手を上げる。 軽そうな、親しそうな挨拶。 ……この二人、知り合い? 助けてくれる脈はないな、と悟った。 「……圭太、オマエうるさい」 飯島くんはダルそうに軽く首をまわして、平野くんを睨む。 その目が殺気立っていて、ゾクリと肌がざわめいた。 それは平野くんも同じだったらしく、彼も同じく顔をひきつらせる。 「おいおい、カイお前機嫌わりぃ?」 「寝てるとこ起こされたからね」 「――っ、短気……だなぁ、オマエは」 その言葉にふ、と飯島くんが鮮やかな笑みをのせる。 「うん、だから血祭りにあげられたくなかったらどっか行ってよ?」 微笑んだ顔は、明らかに怒りを含んでいて。 目が笑っていなかった。
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