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「……カイ、どーしたぁ?機嫌悪すぎだろ」
ビクリと揺れた平野くんの肩。
腕を伝って、振動があたしへ来る。
「……だーかーらー、眠いんだって。寝かせろ」
「お前……なぁ……。俺も告白してんだぜ?」
「んなこと聞こえてるよ。だからこそ、ウザい」
「はぁ?」
「好きだの、何だの。耳元で騒ぐな。夢見悪くなる」
はぁっ、と大袈裟なほどため息を吐いて飯島くんは「しっしっ」と手を振った。
「早くどっか行って。俺の血が騒ぐ前に」
そんなにすごんだ言い方じゃなかったのに、平野くんはリボンにかけていた手を素直に下ろした。
「オマエに言われて、どかねぇバカはいないわな」
はっ、と嘲笑のような苦笑のような笑みを残して、彼は走り去った。
それもあまりにあっさりと。
あたしから見たら、告白してふられるより今の状況のが数百倍かっこ悪い気がするんだけど彼からしたら違うらしい。
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