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「―――ねぇ、知ってる?」
甘い声。
岳先輩と似た。
あたしを見ているわけでもなく。
窓枠から空を仰いだまま。
彼の端正な唇は言葉を紡ぐ。
「借りって返すものなんだよ?」
横目でチラリと。
あたしを見た。
口角がほんの少し上がって。
その笑みが何故か息苦しい。
「……どういうこと、ですか?」
自分の声、裏返ってるんじゃないかって。
不安になるくらい緊張した。
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