08.*告白*

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………あ。 「ち、違いますっ……、 そういうことじゃ、なくて……っ!」 甘い笑みが、どこか自嘲的に見えてじわりと背中が汗ばむほど焦った。 思わず声が大きくなる。 「はいはい。 朝比奈さんは、優しいから気遣ってくれてるんでしょ」 「違います!」 「はは、ムキになってくれてありがと」 「だから……っ!」 どうして、伝わらないんだろう。 どうして、こんなにこの人は自分が嫌いなんだろう。 こんなに好かれてるのに。 飯島くんは素敵な人なのに。 本人が受け入れないから、全てが消えてしまう。 どれだけ好きだって言われてもこの人には届かないんだ。 信じられないんだ。 自分が好きじゃないから、駄目なんだ。 「……、なに、泣いてんの」 「……っ、だって……!」 言葉が見つからなくて、泣くしかできないあたしを飯島くんは暫く見つめて、それからゆっくりと上半身を起こした。 膝の重みが取れて、残るのはじんわりとした痺れ。 「……お人好し」 ポツリ、と小さな声で飯島くんはいうとあたしの涙を彼の袖で拭った。
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