08.*告白*

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お人好し、なんかじゃない。 きっとそう言っても飯島くんには伝わらないんだろう。 罪悪感に見舞われたような顔をして、あたしを見る飯島くんの目が物語っている。 暫しの沈黙のあと、一呼吸おいて飯島くんが口を開いた。 「……嫌いじゃないよ、朝比奈さんのそーゆーとこ」 「え?」 「なんていうの? 心が広いってゆーか、無知ってゆーか。 何を見ても拒絶しないで、まっすぐ誰かを見られるところ」 ……誉められてる、のかな。これ。 なんかイマイチ納得できない言葉に眉を寄せると、それに続けるように「でもね」と飯島くんは呟いた。 「俺は、いらない。その優しさ」 「………っ」 「甘えたくない、朝比奈さんに寄りかかりたくない。 だから……」 「なんで?」 気づけば、言葉を遮って声を出していた。 「飯島くん、杏奈先輩には寄り掛かってるじゃないですか」
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