08.*告白*

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「……負けたくない、って……」 飯島くんがソファの背凭れに肘をかけて身体をあたしの方に向ける。 容赦ない視線があたしを貫くのが、そっちを見なくても痛いほど伝わった。 「……ねぇ、朝比奈さん」 「は、はい……」 「さっきから、何が言いたいの? まわりくどくて、分かりづらい」 「何が……って」 ………あれ、何だっけ? さっきから感情が目まぐるしく動き回っている所為で頭がついてこない。 だから、つまり。 飯島くんは、飾らなくても素敵な人で。 そんな飯島くんを好きな人は居て。 あたしは杏奈先輩に負けたくなくて。 ……あれ? 「ねぇ、朝比奈さんは俺に何に気づいて欲しいの?」 「……え、っと……」 チラリと横を見ると相変わらずのポーカーフェイス。 けど、そこにぐちゃぐちゃと、かき乱された心を難なくひとつの答えへと導く目がある。 会ったときからあたしを惹き付けて離さない、目。 あれが、タブン答え。 「つまり、 ……好き、ってコト……です。 飯島くんのことが…」
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